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私とドイツとNRW(後編)ドイツを走って、食べて、考えた。日本人との違いと共通項

川崎重工業 Kawasaki Robotics GmbH/Kawasaki Robotics(UK) Ltd. 前社長 高木 登さん 2014年からのデュッセルドルフへの赴任は、ポジティブな気持ちで受け入れることができました。デュッセルドルフには日本人のコミュニティや日本食のレストラン、食料品店が非常にたくさんありますし、私たち日本人にとってはとても居心地のよい都市だと思います。毎年恒例の日本祭り「Japan Tag」も開催されていて、Kawasaki Roboticsも毎年ブースを設けさせていただき、ロボットを展示しています。ヨーロッパの中心に位置し、1、2時間でどの都市にも飛んでいけるというのは、ビジネスにとってももちろん最高の利便性です。 デュッセルドルフで暮らした5年間に、私と妻はさまざまな場所へ出かけました。 妻はヨーロッパのアンティーク製品が好きで、月に2、3度もマーケットに出かけるなど、ショッピングを存分に楽しんでいましたね。とくに、デュッセルドルフで月に一度開かれるラートシュレーガーマルクト(Radschlägermarkt)がお気に入りで、何百という店が軒をつらねるなかを何時間も歩き回ったのもよい思い出です。 赴任当初はローマやパリなどの大都市に観光に行っていましたが、後年はデュッセルドルフから車で1、2時間で行ける小都市を多く訪れました。アーヘンやケルン、妻が好きな――つまりショッピングを楽しめるということですが(笑)――クレーフェルトへ、電車の旅を楽しむこともありました。 家があったのはメアブッシュという町で、その近くの森を散歩するのも楽しみのひとつでした。私はランニングが好きで、在任中に7都市のマラソンにエントリーし、デュッセルドルフはもちろん、アムステルダム、ベルリン、パリ、フランクフルト、ロッテルダム、ミュンヘンを走りました。マラソンのために、週に2、3回、平日は10km、週末は20kmを走るトレーニングに勤しみましたが、森のなかを走るのは格別でしたね。 また、5年間のドイツ生活で、日本人とヨーロッパ人の間にさまざまな違いを感じました。 まずは、ドイツ人だけでなくヨーロッパの人々は皆、自国の歴史をよく知っていることに驚嘆しました。彼らは故郷の過去の出来事や文化についてよく私に話してくれました。ほとんどの日本人が自分の地域の歴史に興味がないのを残念に感じた出来事でした。 私たちの世代は、仕事、仕事、仕事! で、家族よりも仕事が重要事。それとは反対に、ヨーロッパの人々は長い時間を家族とともに過ごし、家族のことを第一に考えます。旅先でも、日本人は短期間に多くの場所を訪れようとしますが、彼らは家族でのんびりと一ヵ所に滞在します。 しかし、その休暇には、正直なところかなり困らされました。ドイツ人たちは3週間の長期休暇を取るのが普通ですが、その間の穴を埋めるのは簡単なことではありません。日本人は休暇中にメールをチェックすることもありますが、彼らの場合は3週間にわたって仕事が完全にストップしてしまいます。もっとも、対する顧客も同じ状況なので、この件に関してはヨーロッパでは問題になりませんが。 それでも、ドイツ人の思考の道筋は日本人とよく似ていると感じました。私が業務におけるコンセプトや戦略などについて説明すると、ドイツ人たちはそれに基づいて正しく動くことができます。しかし、その他の国々の人たちは、私が想像しているようにはなかなか動いてくれません。ドイツと日本の考え方の構造と論理が似ていて、コミュニケーションが円滑に取れるのだろうと感じました。また、ドイツ人の話す英語が日本人にとって理解しやすいという点もよかったですね。ちなみに、最も難しいのはイギリス人の英語ですね!(笑) 会食の作法も異なります。私たちも顧客を夕食に連れて行くことがありましたが、ヨーロッパでは、多くのケースで1軒目のレストランで解散になります。日本では食事をして、2、3軒目はバーに行って……と、たいてい長時間にわたりますよね。 会食で私がよく利用したのは、デュッセルドルフにあるドイツ料理店の「シューマッハー(Schumacher)」、日本料理店の「やばせ」「なごみ」「日向」などです。 「シューマッハー」では、シュバイネハクセ、アイスヴァイン、シュニッツェルなどの典型的なドイツ料理が楽しめます。日本人の同僚などが来ると、ドイツ料理やビールをほしがるので、たびたび案内しました。日本料理店では、まるで日本の居酒屋に来ているような気分になったものです。 個人的にはメアブッシュの自宅近所の「ミカド」が好きで、ドイツでは珍しい“日本スタイルの中華”を味わうことができました。妻のお気に入りは、デュッセルドルフの旧市街にあるドイツ料理店「ハウスブラウエライ・ツム・シュリュッセル(Hausbrauerei Zum Schlüssel)」で、インテリアや雰囲気では「シューマッハー」より上だと言っていましたね。 正直な気持ちとしては、もう少し長くドイツにいたかったような気もします。ふと、大好きなカリーヴルストのあのソースが恋しくなることもありますね(笑)。 高木 登 (タカギ ノボル) 1985年、神戸製鋼所入社。電動塗装ロボットの開発及び塗装ラインの制御システム設計を担当。2000年、川崎重工業株式会社に移り、ロボットビジネスセンターにて制御システム設計の責任者として従事。2010年にFAシステム部長に就任し、一般産業機械業界へ幅広くロボットシステムを提案・設計するエンジニア部門を統括。2014年1月にKawasaki Robotics GmbH及びKawasaki Robotics(UK) Ltd.のPresidentに就任し、欧州全域及びロシア、中東、アフリカ地域の拡販を指揮。2018年12月末帰任。 (Text von Maho Mizoguchi Stelz)
出典: © derdiedas.jp

私とドイツとNRW(前編)デュッセルドルフで会社を率いて――乗り越えた壁と成長の秘訣

川崎重工業 Kawasaki Robotics GmbH/Kawasaki Robotics(UK) Ltd. 前社長 高木 登さん 私は1985年に神戸製鋼所に入社し、塗装ロボットの開発や塗装ラインの制御システム設計を担当するエンジニアとして勤務してきました。2000年、川崎重工業が神戸製鋼所の該当部門を合併した際に、私も同社に移ることになりました。 約10年前まで、主に自動車関係の塗装ロボットシステムを担当していたため、日系自動車メーカの生産ラインがある北米や東南アジア、ヨーロッパ各地へよく出張していました。場合によっては数ヵ月間滞在することもありましたが、本格的に国外に住んだのは今回のドイツが初めての経験になりました。 実はそれ以前にも、上司から海外駐在の打診は何度もありました。しかし英語に自信がなかったため、2、3年は拒否し続けたでしょうか……ついにしびれを切らした上司から“職命”が下り、デュッセルドルフに駐在することになったわけです。2013年の初めのことでした。 私と妻が住んだのは、デュッセルドルフ近郊のメアブッシュという小さな町です。川崎重工業のグループ会社であるKawasaki Robotics GmbHはデュッセルドルフ西部のノイスというところに拠点を置いており、そこが私の勤務先でした。 私には子どもが3人いますが、彼らは皆デュッセルドルフには来ませんでした。長男はすでに働いていましたし、娘と次男は大学生でしたから、ドイツ赴任にそれほどのハードルはありませんでした。 ただ、妻はケアマネージャーとして働いていて、ポジションにも恵まれており、はじめは日本に残るべきか迷っていました。しかし、多くの友人たちが口を揃えてヨーロッパ滞在はとてもよい経験になると言ってくれました。その言葉に背中を押され、妻も私と一緒にドイツに滞在することを決断してくれたのです。 赴任後は、私以上にドイツの生活を楽しんでいましたよ(笑)。なかでも、彼女の培った知識を日本人コミュニティのために役立てられたのは、とてもよい経験になったようです。 というのも、現在ドイツでも高齢化問題が起きており、在独邦人の高齢者も同様に増加しているにもかかわらず、外国人であることで公的なケアが受けられないでいるそうなのです。それに危機感を抱いた日本人グループが、日本人高齢者のためのケアシステムを構築しようとしています。そこで私の妻が、プレゼンテーションをするなどし、日本で経験した専門知識を彼らに伝えることができました。 私は、2014年にKawasaki Robotics GmbHの社長としてデュッセルドルフに赴任することになり、欧州全域とロシア、中東、アフリカ地域の拡販を指揮する立場になりました。赴任直後のKawasaki Robotics GmbHの従業員数は、3人の日本人を含む計28人でした。それから約5年が経ち、私の日本への帰任が決まったときには、4人の日本人を含む70人以上になり、オフィスも手狭になって2017年には新オフィスに移転もしました。従業員はほぼ全員ドイツ人で、日本人社員とのコミュニケーションは英語で行われています。 外国に拠点を置く日本企業のトップとして頭を悩ませたのは、その“言葉の壁”でした。私自身にとっても、伝えたい内容を100%正確に英語で言うのはとても難しいこと。微妙なニュアンスを表現することができずに、従業員に自分の考えを正しく理解してもらえなかったこともありました。 2018年に会社の成長に伴って機構改変を行い、各部門のマネージャーたちに直接指示を出す形を改め、私のもとにドイツ人の副社長をおき、実務はその副社長によってなされる形に変更しました。そのことにより、私はその副社長と業務や戦略についてのより深いコミュニケーションが可能になりました。このスタイルは、日本人社長として会社全体をマネージメントするのをよりスムーズにしてくれました。 私の赴任期間中に会社の規模を約2倍にすることができたわけですが、取った戦略は営業力の強化です。そのために従業員を増やし、各自の責任分野を見直しました。また、私自身も積極的に代理店と直接コンタクトする機会を増やし、コミュニケーションを密にしました。結果として売上げも利益も2.5倍にすることができました。 川崎重工業のロボットは、あらゆるアプリケーションに対応することができ、ラインナップやサポートサービスも十全です。しかし、さまざまな分野の企業のリクエストに応えるためにはエンジアリングサポートも必要で、その部分を強化し、さらに発展を目指そうというところでの帰任でした。 ドイツの顧客に日本のロボットを提案するのは、正直なところ、そう簡単なことではありません。ヨーロッパでは、すでにヨーロッパの有名ロボットメーカーが大きくシェアを取っています。日本人が日本製を好きなように、やはりヨーロッパの人はヨーロッパ製を好みます。例え日本製品の高品質を認めていてもね。ヨーロッパのロボットメーカーの手が届かないところ、またまだ手を広げていないところで実績をつける……中国、東南アジアに誇るようなシェアをヨーロッパに広げるためには、その点が課題のひとつだと考えています。 高木 登 (タカギ ノボル) 1985年、神戸製鋼所入社。電動塗装ロボットの開発及び塗装ラインの制御システム設計を担当。2000年、川崎重工業株式会社に移り、ロボットビジネスセンターにて制御システム設計の責任者として従事。2010年にFAシステム部長に就任し、一般産業機械業界へ幅広くロボットシステムを提案・設計するエンジニア部門を統括。2014年1月にKawasaki Robotics GmbH及びKawasaki Robotics(UK) Ltd.のPresidentに就任し、欧州全域及びロシア、中東、アフリカ地域の拡販を指揮。2018年12月末帰任。 (後編に続く) (Text von Maho Mizoguchi Stelz)
ヌスボイゲル; ヘーゼルナッツのフィリングを詰めた独逸系中華饅頭といった趣; 出典: © kyoto-brot.com

通販も可! スイス女性が京都で作るほっと美味しいパンと焼き菓子

“日本で体感できるドイツ・オーストリア・スイス”をテーマにお届けしている「Insider Tip」。
出典: © Florian Glappa/Roman Jäger

ドイツの大学生が学食メニューを“一流レストラン風”に仕立てた結果

学食のメニューと言えば、取り柄は安さと量ばかり。味も見た目もイマイチなのが普通だが……。 カッセル大学のふたりの学生が始めた、学食メニューの“食べ残し”を芸術的に盛り付けた写真が話題を呼んでいる。 まるで高級レストランでサーブされるひと皿のような見事な仕上がりだが……よく見てみれば、食欲減退は必至。 彼らの写真はInstagram(ID: mensa.fudprn)で見ることができるが、ここではいくつかの傑作を紹介しよう。 1 パスタ、トマトソース、パプリカ、トウガラシ 2 鶏のムネ肉、オリーブ、パスタ、バジル 3 ピザ、モッツァレラチーズ、バジル 4 七面鳥のシュニッツェル、ニンジン、サラダ 5 チキン、赤キャベツ、フライドポテト 6 レモン、ライス、オレンジの皮 7 ラタトゥイユ、オレンジ 8 カリフラワー、チーズ
出典: © Windmühlenmesser

抜群の切れ味!伝統製法で作られたゾーリンゲン生まれの“風車ナイフ”

“日本で体感できるドイツ・オーストリア・スイス”をテーマにお届けしている「Insider Tip」。
出典: © Sandra Häfelin

今年のクリスマスは「ヴァイスヴルスト」でドイツ風に!

“日本で体感できるドイツ・オーストリア・スイス”をテーマにお届けしている「Insider Tip」。
出典: © Aus Liebe/Facebook

シュトレン、クグロフ、魔女の家……贈り物にもぴったりな本格ドイツ菓子の店

今回はおなじみサンドラ・ヘフェリン(Sandra Häfelin)さんが、とっておきのスイーツが買えるお店をご紹介してくれました。

作って楽しく、飾って可愛い! ベルリン発の新素材ポストカード

“日本で体感できるドイツ・オーストリア・スイス”をテーマにお届けしている「Insider Tip」。
出典: © Sasaki/Facebook

老若男女のドイツ人が愛する味、本格“レバーケーゼ”を日本で食べる

“日本で体感できるドイツ・オーストリア・スイス”をテーマにお届けしている「Insider Tip」。
出典: Pxhere CC0

チーズフォンデュだけじゃない、世界が驚く「スイス料理」9選

もっともよく知られているスイス料理といえば、ひと口大のパンや肉をとろけたチーズにくぐらせるチーズフォンデュ。
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