レシュティは、じゃがいもを味わいバターで黄金色に焼き上げた、イモ好きにはたまらないスイスの家庭料理

最近、日本でも密かに人気沸騰中のスイス料理レシュティ(Rösti)。スイスのドイツ語圏地域の定番料理で、付け合わせとしてもメイン料理としても人気のポテトパンケーキだ。スイスの山岳レストランではマストメニューの一つ。

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以前derdiedasで紹介したことのある、アルプス山脈の絶壁にそびえるゲストハウス「エッシャー マウンテンイン(Aescher Berggasthaus)」でも、なんと1日に平均125キログラムのレシュティが提供されている。

ベルン州の農民が朝食として食べ始めたのがレシュティの始まりだとされる説もあるが定かではない。とはいえ、スイスのフランス語圏ではあまり食べられないのは事実で、スイスでは、言語の境界線を表すときだけでなく、フランス語圏スイス人とドイツ語圏スイス人のキャラクターの違いを一言で表現するときにも「Röstigrabenレシュティグラーベン」(レシュティの溝)という言葉が使われるほどスイス人にとってレシュティの存在は大きいようだ。

「本物のレシュティのレシピ」についても争いが絶えない。いつも争点となるのは次の3つ。

1. おろし金にかけるのは、生のじゃがいもか茹でたじゃがいもか?
(昔は1日前に下茹でしたじゃがいもを使っていた。時間がなければ、生のじゃがいもを使う他ない)

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2. バターを使うか、豚の脂のラード「Schmalz」を使うか?
(バターの方がSchmalzほどくどくなく上品に仕上がる。色も美しい黄金色に焼きあがる)

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3. 昔ながらの鉄のフライパンで焼くか、テフロン加工のフライパンか?
(テフロン加工されたフライパンだと当然の事ながらひっくり返すのが簡単だ)

美味しいレシュティの一例として、「エッシャー マウンテンイン」のレシュティの作り方を紹介しよう。使用するじゃがいもの品種はAgria。レシュティを作るときには、Bintje、 Charlotte、 Urgentaなど、ねっとりとした茹で上がりになる品種を使う事がポイントだ。

「エッシャー マウンテンイン」のシェフは、まずじゃがいもを19分蒸し、そのじゃがいもを2日間寝かせる。その後初めて皮をむき、レシュティ用のおろし金でおろす。

レシュティ用じゃがいもおろし金は、スイスの一家にひとつの調理用具!

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フライパンにバターをしき、胡椒と、スイスの万能うま味調味料アロマット(Aromat)で調味したじゃがいもを敷き詰める。ナツメグは使わない。10分間中火でじっくりと焼いてから、フライ返しとフライパンをうまく使って、レシュティを空中でくるりとひっくり返して出来上がり。

投げてひっくり返すのは難しいので家庭ではお皿を使って丁寧に裏返す事が多い。

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野菜好きなら、刻んだ玉ねぎにおろした人参とズッキーニ加えて、野菜レシュティを。肉が好きなら、ベーコンの角切りを足してもいい。

ポップな料理番組で紹介されているベーコン入りのレシュティ。

作り方がシンプルなだけに、素材な味が重要な役割を占めるレシュティ。是非ねっとり系のじゃがいもが手に入ったときには、日本でもスイス国民食を試していただきたい。