鎧姿の騎士が闘技場で戦闘を繰り広げる。魔女が街を徘徊する。映画に入り込んだか?それともタイムスリップか?街中が本気で中世になるカルテンベルク (Kaltenberg) 城の騎士祭

ドイツ人は中世を感じるのが大好き。甲冑を着けて行われる騎士達のショーや、中世を意識したマーケットはとても人気がある。

毎年ドイツ中で、約800の中世時代をテーマにしたイベントが開催されており、そのほとんどは、中世の城か歴史的な旧市街のある街で行われる。

その中で、最も規模が大きく、レベルの高いパフォーマンスで人気なのが、ミュンヘンから50キロ西に位置するカルテンベルク城で、7月に行われる騎士祭だ。

カルテンベルク城騎士祭のオフィシャルトレーラー。

カルテンベルク城は700年以上前に建てられ、今でもバイエルン王家の子孫、ルイトポルト・プリンツ・フォン・バイエルン(Luitpold Prinz von Bayern)が所有している。彼は、1913-1918に在位した、バイエルン王国最後の国王のひ孫にあたる。騎士祭を始めたのは、このルイトポルト・プリンツ・フォン・バイエルンで、1979年から開催されている。

ルイトポルト・プリンツ・フォン・バイエルンのお住まいカルテンベルク城

Schloss_kaltenberg
出典: Wikipedia

祭の毎日のハイライトは、まるで中世からやって来たかのような800人が街を行進するパレードだ。

そして、何と言ってもこの祭の目玉は、カルテンベルク城で行われる騎士ショーだ。数百人にも及ぶプロの俳優とアーティストによって、このために設置された木製アリーナで、一万人の観客を前に行われる。

入場してくる騎士たち。まるで映画のワンシーン!

Kaltenberg Ritter
出典: © ritterturnier.de

こちらも王を楽しませる道化師だとか。日本人から見れば威圧感たっぷりの魔王である。

Kaltenberger Gaukler
出典: © ritterturnier.de

祭で開かれるマーケットでは、100以上の中世の職人芸を見ることができる。スプーンを彫り出す人、樽を作る人、石鹸を作る人、ろうそくを作る人、鍛冶屋などなど。

こちらはフェルトから帽子や洋服を作る人。

食べ物だって、当時のように作られる。こちらは香ばしく焼けた「豚の炙り中世風」。

Kaltenberger Essen
出典: © ritterturnier.de

クネーデルの屋台も人気だ。クネーデルとは「お団子」という意味で、小麦粉とジャガイモ・パン粉などを混ぜて丸めて、熱湯でゆでたドイツ料理。

ベーコンのクネーデル、ほうれん草のクネーデル、あんずのクネーデルなど、種類は様々。「中世の人ってこんなに美味しいもの食べてたの?!」と驚くはず。正真正銘の手作りで、スーパーで買ってきて水を入れてこねただけの代物ではないのが、現代のクネーデルとの違いなのかも。

当時の風習を経験してみたいなら「罪人体験」がある。粘っこい木のタールを体中に塗られた後、鳥の羽をまぶされるという刑罰を実体験できる。カルテンベルク城の騎士祭でしかできない貴重な体験。体に害はないようなので、試してみては?

次回のカルテンベルク城の騎士祭は、2018年の7月13日に開催される。チケットは21世紀風に、オンラインでの事前購入が可能だ。