「なくて困ったから、作ってみただけだよ」使い易さの原点は開発者のユーザー視点にあった!PDFに関する15種類の操作を簡単にオンラインで行えるWebサービス「smallpdf」はスイスメイド。

PDFは現代のビジネスシーンで、もはや欠かせないファイル形式となった。だがふと、「PDFの容量を圧縮したい」「PDFを分割したい」「PDFをWordに変換したい」といった状況になると、簡単ではないことに気づく。そんな事態の救世主が、スイスメイドのPDF変換サービス「smallpdf」だ。

シンプルでストレスフリーにPDFに関する様々な変換作業ができるこのサービスは、友人同士だったスイス人青年3人組によって、2013年に開発された。当初はごくベーシックな機能しかなく、実験的に公開され、ユーザーは1日に数名だったという。

現在は、必要なすべての開発を終え、PDFのことなら何もかもが「smallpdf」で解決できるようになった。圧縮・変換・分割・結合・編集など、15の機能が搭載され、20言語に翻訳されている。

1ヶ月に1千万以上のアクセスを誇り、AmazonのアナリティクスAlexaでは、世界で最も閲覧された1,000のウェブサイトの一つにまで上り詰めた。

創始者、マティス・ビュッヒ (Mathis Buchi) 、 リノ・トイターベルク (Lino Teuterberg) 、そしてマニュエル・シュトーファー (Manuel Stofer) の3人が、このアイディアにたどり着いたのは、旅行先でスイスからの受け取ったPDFファイルの扱いに苦労したから。まさに「必要は発明の母」だ。

発表当初、サービスは完全無料で、自己資金とわずかな広告費で運営していた。現在、無料サービスは1時間に2回、または5GBまでと制限されている。制限のない有料サービスは一ヶ月6ドル、または一年間に48ドルで、これが現在の主な収入源だ。プライバシーの厳守は「smallpdf」が最も重視する点の一つで、サーバーの全てのファイルは1時間以内に完全に消去される。

現在はチューリッヒを拠点に従業員は10名。外部資金を入れず、地に足のついた「小さな優良企業」を目指している。「smallpdf」が今後、どう歩を進めるのか、気になる企業の一つだ。