9月16日12時00分。今年もまた世界最大のビール祭典「オクトーバーフェスト」が開幕しました!

184回目を迎えた今年のオクトーバーフェストの初日はあいにくの雨模様でしたが、会場は雨天などなんのその。たくさんの来場者で賑わいました。

出典: Facebook/Wiesn

毎年600万人以上のビール好きが訪れるオクトーバーフェストでは世界中の言語が飛び交いますが、ここでしか使われない言葉、風習なんかもあるわけです。今回は、オクトーバーフェストで使える(?)かもしれないドイツ語です!

O’zapft is!(「さあ、ビール出ますよ!」(オクトーバーフェスト開幕の言葉)

「A Maß」> マースを一杯
出典: © Tourismusamt München / A. Kupka

A MaßことMasskrug(マースクルッグ)は、ご存知の通り、オクトーバーフェストの定番、1リットルジョッキのことです!

オクトーバーフェストに限らず、ホーフブロイハウスなど、ミュンヘンのビアホールでは定番のサイズですが、北ドイツでは滅多に見かけません。

出典: © 河内秀子

ここ数年値上がりが激しいオクトーバーフェスト。2015年には「マースが10ユーロ以上になる」というのが大きな話題になりましたが、すでにオクトーバーフェスト市場では1マース10,60〜10,95ユーロ!

いままでは10ユーロ札でチップ込みで払えたのが、現在の価格ではチップを払えば、さらに辛くなる状況ですが、どうなんでしょうか。

以前ホーフブロイハウスで働いている人に聞いたところ、オクトーバーフェストの期間だけで通常の約半年分以上のチップを稼げるそうで、村全体で出稼ぎに来る常連もいるのだとか。(2週間の平均給料は5200ユーロ〜)

この映像では2013年の世界記録、18個のマース持ちに挑戦しています!あの重い1リットル入りビアジョッキを10本とか持っているのを見ると、確かにチップを弾みたくなりますよね!

ちなみに、ジョッキは空の状態で1300g。そこに1リットル分のビールが注がれ2300g。10本となれば23kg!

世界記録の18本というのは42kg弱ということです。重さもさることながら、実は、持ち手に指を回すこと自体が難しいのです。

持ち方のコツも教えてもらったことがありますが、私は2個が限界でした……。指がプルプルと震え始めるんです。

„No a Maß, biddscheen!“ (マース、もう一杯お願いっ!)

「A Mass und a hoibads Hendl」> 「マースクルッグと鶏の丸焼き半分」
出典: © 河内秀子

東ドイツの言葉(中編)では「ブロイラー」の話が出ましたが、オクトーバーフェスト(バイエルン地方)では「ヘンドル」という、鶏の丸焼き半羽が、上記のマースとともに飛ぶように売れます。(この鶏肉の形をした帽子なんかも売っていたり、、、)

A Mass und a hoibads Hendl, bitt schön! (マース1杯と鶏の丸焼き半羽、お願い!)とご注文を。

出典: © 河内秀子

そして、やはりビールのお供といえば……のブレーツェルはBrezn(ブレーツン)。オクトーバーフェストで出てくるブレーツェルは太めでお腹がぷくっと膨れて柔らかくて、、、巨大です。

「Oans, zwoa, g’suffa」>「いーち、にーい、酔っ払った!」

これは知ってる方も多いかと思いますが、いわゆるTrinkspruch(乾杯の時の言葉)です。「いーち、にーい、酔っ払った!」ってな意味です。そして飲みまくった後の重要フレーズといえば、、、

„Wo is’ns Haisl?“ トイレどこ!?

大丈夫です、本当に緊急ならば何語で言っても、表情だけでわかってもらえます。

「Dirndl-Schleife-Code」> ディアンドル暗号
出典: © 河内秀子

言葉というより、知っていたらオクトーバーフェストの世界も広がるのが、バイエルンの女性(Madl/標準ドイツ語ではMädchen)民族衣裳、ディアンドル(Dirndl)の着方に隠された暗号(?)です。

デコルテのあいた専用の短いブラウスと、コルセットのようなMiederを着て、さらにエプロンみたいなのをスカートの上に付けるのですが、このリボン(Dirndl-Schleife)の結び方がポイント!

前の真ん中で結んであれば「Jungfrau:処女」。後ろの真ん中なら「Witwe:未亡人 (またはビアホール従業員だから声をかけないでね〜の意味)」。前の右側で結んでいれば「In festen Händen:彼氏がいるから話しかけても無駄よ」という意味だけど、左側なら「noch zu haben:彼氏募集中。話しかけても良いわよ。」というメッセージを含んでいます。知らないと大変なことになりそう(?)です。

「Mogst a Busserl?:キスしてほしい?」って酔っぱらいがあまりにしつこかったら、「Zupf di:消えな!」って追っ払いましょう。

そうそう、男性(Buam/標準ドイツ語ではJunge)のオクトーバーフェストでのユニフォーム(というか民族衣装)は、革の半パンツ「Lederhose(レーダーホーゼ)」。

皮は伝統的には仕事着なので丈夫な鹿革が使われていたそうですが、安い物は豚革。基本的に洗わないそうです……。

「Liaba an Bauch vom saufa, ois an Buckl vom arbatn」

そして、バイエルン人のキャラクターを表す素敵な言い回しがこれ。「仕事で背中にこぶを作るくらいなら、飲んでビール腹になった方がいい」というわけです。

昨年のオクトーバーフェストでは2週間ちょっとの間に、700万リットル(!)ものビールが飲み干されたとのこと。さあ今年は?

「Saupreiß」> 「豚プロイセン」
出典: © 河内秀子

今回、ちょっとご協力いただいたミュンヘン観光局さんのサイトで見つけた、ショッキングな言葉!「豚プロイセン」

ちなみに、オクトーバーフェストに来ているバイエルン人じゃない人たちを揶揄する言葉だそうです。バイエルン王国のプロイセンdis、ここに極まれり。(ジャガイモ王国プロイセンでは、ビールよりシュナップスですかね?)

でも、実際オクトーバーフェストに行けば、プロイセン人だろうが日本人だろうが、大歓迎のウェルカムムードですよ。

ではでは、皆さん、プロースト!
oans ged oiwei no! (もう一杯、まだいけますよ〜)

執筆者:河内秀子
東京都出身。2000年からベルリン在住。ベルリン美術大学在学中からライターとして活動。雑誌『Pen』や『料理通信』『ミセス』、『Young Germany』『Think the Earth』などでもベルリンやドイツの情報を発信させて頂いています。
Twitterで『#一日一独』ドイツの風景をほぼ毎日アップしています。いまの興味は『#何故ドイツではケーキにフォークを横刺しにするのか問題』。美味しくてフォークを刺してあるケーキを探し歩く毎日です。HPもご覧ください。