かつての英雄に救いの手を差し伸べたドイツテニス連盟

ドイツテニス界のレジェンド、ボリス・ベッカー(Boris Becker)。1985年、史上最年少の17歳でウィンブルドン選手権を制覇して以降、引退する1999年までに通算64勝をあげ、そのうちグランドスクラム優勝を6回果たした「芝の王者」は、2017年6月21日、「驚きと失望」に打ちひしがれていた。

出典: Facebook/Boris Becker Official

2015年から滞納していた多額の借金に対し、イギリスの法廷は「延滞分がすぐに支払われ得る信ぴょう性がない」として、ベッカーに破産宣告を言い渡したのだった。

今回訴訟を起こしたイギリスの個人資産運営企業アルブスノット・ラサムからベッカーが借りていた負債額については明らかにされていないが、ベッカーのもう一箇所の借入先であるスイス人事業家からは48億円(4180万スイスフラン)の借金をしているという。

出典: Facebook/Boris Becker Official

引退してからは、不倫、スキャンダラスな離婚劇、310万ユーロ(当時約3億8000万円)の脱税、事業の失敗、プロ・ポーカー・プレーヤーとしてのデビューなど、大衆紙ではなにかと話題が尽きなかったベッカー。3人の女性と4人の子供ももうけている。

出典: Facebook/Boris Becker Official

2014年からはレジェンドコーチとしてセルビア人テニスプレーヤー、ノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic)を支えていたが、2016年に師弟関係を解消していた。

出典: Facebook/Boris Becker Official

ベッカーがウィンブルドンでプレーする姿を見たことがあるという、破産命令を言い渡したイギリス女性登記官のクリスティン・デレット氏は、「彼からは困難から目をそらしてやり過ごそうとする男の印象を受ける」という苦いコメントまで付け加えた。

しかし、2017年8月、ベッカーの破産宣告ニュースを聞いて落胆していたドイツ国民に、明るいニュースが入ってきた。ドイツテニス連盟は、かつての英雄ベッカーを男子テニスの責任者に抜擢したのだ。

出典: Facebook/Boris Becker Official

今後、ベッカーは、国別対抗戦のデビスカップのチーム作りやドイツのテニストッププレーヤーを指導することになる。まもなく50歳となるボリス・ベッカー。再びコートサイドで彼の姿に出会える日を楽しみにしたい。