たっぷりと粉砂糖がかかったクグロフは、オーストリアの定番ケーキのひとつ。生クリームとカフェオレが添えられていたらさらに素敵だ。ドイツ語ではグーゲルフップフ(Gugelhupf)と呼ばれ広く愛されている。

■クグロフの材料は?
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小麦粉、卵、ミルク、バター、アーモンド、レーズン、イーストから成る生地を、特徴的な型に入れて焼くのが伝統的なスタイル。焼き上がった後には、粉砂糖か溶かしたチョコレートがトッピングされる。

地域によっては、生地の半分にカカオを加えマーブル状にしたタイプもよく見られる。


■クグロフの発祥はどこ?そしていつ?
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クグロフの歴史は大変古く、原型の発祥は約2200年前と言われている。食されている地域も広く、古い型がオーストリア、イタリア、フランスでも発見されているという。

現在の形のクグロフが姿を現したのは中世後期のこと。その後、オーストリア皇帝のフランツ・ヨーゼフ(1830-1916)の大好物がレーズン入りのクグロフだったことで、世界的に知られるようになった。


■なぜ「Gugelhupf」と呼ばれるのか?
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ドイツ語のグーゲルフップフ(Gugelhupf)の名には諸説ある。

まずはGugele(ずきん)、あるいは球(Kugel)の語に由来するという説。あるいは同じくずきんを意味するラテン語のCucullusが源流だとの説。クグロフの形はたしかに修道服のずきんを思い起こさせる。

hupfはhopfとも綴られることがあり、hopfはイーストを意味する。さらに他説では、生地が型のなかでまるで跳ねる(=hüpfen)かのように膨らむことからそう名付けられたとも言われている。


■クグロフの形の意味するところは?
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クグロフはターバンのように見えるという人もいれば、上記のように、修道士のずきんのようだと言う人もいる。

また、その形は太陽を模したものだという説も有力。太陽は古くより幸運と満足のシンボルだったため、人々はそれを口にすることで幸せを願ったのだろう。


■なぜ中心に穴が空いているのか?
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普通のケーキ型では、どうしてもオーブンの熱から遠い部分ができてしまうが、中央に穴が空いていることで、全体を均一に焼くことができる。ユニークなだけではなく、合理的でもある形なのだ。

■なぜ表面に刻み目がついているのか?
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この刻み目によって、生地が型に貼り付きにくくなるという利点がある。焼きあがった後は、さかさまにするだけで型から簡単に外すことができ、大量生産も楽になる。


■どんな種類のクグロフがあるのか?

最後に、さまざまな種類のクグロフをご紹介!

ザッハークグロフ

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オレンジ風味クグロフ

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ナッツチョコレートクグロフ

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モーツァルトクグロフ

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ケシの実入りクグロフ

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アーモンドクグロフ

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