ミュンヘンのスタートアップカンパニー、Frankaが開発した“Franka Emika(フランカ・エミカ)”が、家庭でも大活躍するロボットとして世界を驚かせている。

36歳にして、ハノーファー・ライプニッツ大学の教授であり、Frankaの共同創業者でもあるSimon Haddadin氏は、derdiedasの取材に対して、「Emikaは工場などの製造過程でも役立ちますが、一般家庭においても人間とともに働くことができるのです」とコメント。

出典: Franka Emika

一般向けと謳われている従来のロボットは、実際のところはそれほど合理的でも便利でもないのが現状だった。例えば、HondaのASIMOであれば、お茶を注ぐのがやっとだ。

出典: Honda

あるいは人気者のPepperも、人の言葉を聞いて、一部分を理解し、ちょっとした返答を返す程度。

出典: Aldebaran

もちろん、工場などで活躍している産業ロボットもあるが、人の身近な場所で共同作業ができるようなものではない。

Frankaはいわば、そんな両者を“コラボレート”。Franka Emikaは7つのシャフトによって自由自在に動くアーム型のロボットだ。

なぜFranka Emikaと名付けられたのか?

社名のFrankaに、日本人の耳にも親しみやすいEmikaという名前については、「テクニカルでありながら、人の名前のように聞こえるものがよかったのです」と、前出の Haddadin氏。

出典: Franka Emika

Franka Emikaの最大の特徴は、専門家でなくても簡単に操作でき、プログラムも数分で終わること。例えばキッチンで人と一緒に調理をするなど、家庭においても便利な存在になるという。

「Emikaは、例えばオレンジを絞ったり、コーヒーを入れたりなど、朝食の手助けをしたりすることも可能です。それに、洗濯物を選り分け、洗い、アイロンをかけることだってできますよ」(同氏)

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それらの作業過程を設定するには、例えば「物を取り上げる」「物を下へ置く」「ボタンを押す」「ボタンをつまむ」「ボタンを回す」など、クラウド上にあるアプリを選択するだけ。各自のスマートフォンやタブレット、パソコンで設定ができるというのも画期的。

出典: Franka Emika

その後はEmikaを正しい作業位置に設置し、スタートボタンを押すだけ。7つの関節すべてに設置されているトルクセンサーの働きで、とてもなめらかな動きを実現している。

出典: Franka Emika

もちろん安全面も最大限考慮されている。もし予期せぬ障害物などがあれば、素早く自動停止。

出典: Franka Emika

安倍首相もスピーチで言及

2017年3月にハノーファーで開かれた世界最大級のコンピュータエキスポCeBIT(国際情報通信技術見本市)の前夜祭では、安倍首相も“自分自身”を組み立てるFranka Emikaについて、こうスピーチ。

「“フランカ”というロボットは、優しい手つきで新しいフランカを、つまり自分の分身を、なんと自分で組み立てて見ている人を驚かせました。」(出典)

出典: Franka Emika/Youtube

Franka Emikaはまだ一般には売られていないが、販売が可能になれば、9,900€(120万円)程度で手に入れられるという。

Frankaは現在、日本におけるパートナー企業も探しているとのこと。日本での試験や販売が実現する日も近いだろう。