サンドラの日独比較
Vol. 5 ニッポン人は「精神論」が好き!

欧州人が日本を深く知れば知るほど不思議に感じ、ときに違和感を感じてしまうのもの。それは、ニッポン人の「精神論」。

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例えば欧州のスポーツ科学者は、大事な大会がある場合、選手を朝まで十分に寝かせておいて、睡眠をとらせるのが常識です。その方が選手の能力を引き出すためには合理的だからです。しかし、ニッポンでは、理論上は睡眠の大切さはよく語られていますが、実際には、「本番当日も早起きして朝練だ!」とやってしまうわけです。

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企業でも、新入社員研修で、新入社員全員が座禅を組んだりする修行的なものもありますし、やはり仕事の場でも「精神論」が大事にされている部分があるようです。有休をとらずに働くのもその一環のように思います。

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余談ですが、オリンピッックやワールドカップ中、欧州のチームは「パートナー(奥さんや彼女)とのエッチ、OK」ですが、日本では禁止されているのだとか。

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欧州でOKになった理由は実にシンプルで、「エッチによってスポーツの成果が出せない、ということが立証されなかったから」だそうです。でも日本の場合は、「試合期間中に女とエッチだなんてとんでもない! 試合に集中しろ!」という精神論的な理由から禁じられているわけです。

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矛盾するようですけど、ヨーロッパ人も個人レベルでもう少し精神論を身につけたら、いろんなことが成し遂げられるんじゃないかと思っています。だって、ヨーロッパ人って、自分は才能がないから勉強を徹夜でがんばろう、なんて考える人はほぼゼロで、すぐにあきらめちゃうんです。

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私サンドラは「自分の努力と根性でなんとでもなる!」という精神論、嫌いじゃありません。ただ、他人から言われるのではなく、自分で自分に「絶対できるはず!」、「くじけない!」などとブツブツと言い聞かせながら取り組む「ひとり精神論」が好きなのです。他人から押し付けられる精神論にはやはり抵抗があるのでした。

続きは、著書『日本人、ここがステキで、ここがちょっとヘン。』をご覧くださいませ。

サンドラ・ヘフェリン

コラムニスト。ドイツ・ミュンヘン出身。日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「ハーフはナニジン?」、「ハーフといじめ問題」、「バイリンガル教育について」など、「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(原作:サンドラ・ヘフェリン、漫画: ヒラマツオ/KADOKAWA)「『小顔』ってニホンではホメ言葉なんだ!?~ドイツ人が驚く日本の「日常」~」(原作:サンドラ・ヘフェリン、漫画: 流水りんこ/KKベストセラーズ) など計11冊。ホームページ 「ハーフを考えよう!」 を運営。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、散歩。