ドイツのスーパーマーケットはとにかく広大です。いえ、もちろんアメリカやフランス、イタリア、どこの国でも広々としたスーパーを見かけることはあります(なので、どこでも似た事情で右往左往している方がいるかも? ぜひ「ここもドイツと同じ!」「あそこは違った!」なんて情報、教えてください)。そして逆に、ドイツにもぐるりとすぐにひと回りできてしまうようなサイズの店舗もたくさん建っています。

ですが私は、ドイツに移住してもうすぐ3年が経とうとする今なお、毎回やっぱりちょっとびっくりさせられる大型スーパーが大好き。毎週土曜日は買い出しの日と決めてあるので、夫と大きなカゴを車に積んで出かければ、今回もやっぱりちょっとびっくり。今日はその模様を書いてみたいと思います。

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ドイツのスーパーで買い物をするようになってはじめに驚いたのは、肉売り場の広さ、というか長さ。カウンターの左右は、ちょっと向こうがかすんで見えるくらいですし(本当です)、中では、屈強な店員さんたちが6~7人もお待ちかね。

そして乳製品売り場も、ミルク、チーズ、ヨーグルトにバター……種類が多すぎて混乱をきたし、結局最後はいつもと同じものを買ってしまう始末。

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ちなみに私がよく行くスーパーには、肉売り場とチーズ売り場の前に整理券配布マシンが設置されていて、自分の順番がやって来るまで整理券を握りしめて待つ必要があります(そう、まるで銀行か病院の待合室のように!)。

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片や魚売り場が極小なのはもちろんで(たとえば肉売り場が20メートルほどもありそうなスーパーでも、魚売り場は2メートル、10分の1もあればいいほう)、北陸育ちの私にとってはちょっと悲しくなってしまうのも事実。

さて、場所を移して野菜売り場に行ってみれば……。日本のものよりだいぶ肥満気味なナス、三角にとんがったキャベツ、夏の野菜として姿を現すひょろりとした大根……(どれも美味)。日本の野菜と同じものや似たものも見つかれば、コールラビ、ビーツ、根セロリなど、おしゃれな野菜も山と並んで、あれこれ眺めるだけでも楽しいものです。

出典: flickr/J. Triepke CC BY 2.0

ですが要注意。日本のスーパーのように、選別された美しい野菜のみが並んでいるわけではありません。大きさが不ぞろいなのはとにかく、すっかり傷んでしまっているものもなかには混ざっているので、手に取って入念にチェックする必要があります(腐ったブロッコリーを食べてしまったときの悲しい気持ち、いまでも忘れません)。

気をつけなければいけないのは「卵」も同じ。卵は紙パックに入って売られていることが多いので、中身をチェックせずに買ってしまって、残念。割れた卵が混ざっていて、パックの中はどろどろ……なんてことも何度かありました。

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さて、これまた巨大なビール売り場を抜けてレジに向かうと、そう、また難関が待ち構えています。

レジには、どん!と座った店員さんの前に短いベルトコンベアが設置されていて、まずはせっせと自分の買ったものをその上に並べます(前の人、後ろの人の商品と混ざってしまわないように、プラスチックの仕切りも用意されています)。次は、バーコードをチェックされて流れてくる商品を待ち構えて、素早くカゴに詰め込んでいく作業が待っています。

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そして、たいてい商品を詰め終わらないうちに、「45.8€です」なんて早口で言われるので、「えっと、45……いくらだって?」なんて、今度は財布を慌てて開く。結果適当にお札を渡し、財布のなかにはまた小銭がたまっていく……と、なんとも慌ただしいお会計になってしまうのです(といっても、焦っているのは私だけで、ほかのドイツ人たちは悠々と店員さんや後ろの人を待たせて小銭を探っていたりするのですが)。

いつかお会計をゆったりと待ち、ぴったりのお金を優雅に支払う日が来るのを夢見ています。

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また、ドイツでは日曜にはほとんどのスーパーが閉まってしまうので、土曜の夕方に買い物に出かけようものなら、「正月前か?」と言いたくなるくらいの大混雑ぶり。みんな、なにをそんなに大量に買う必要があるのか、ぜんぜん進まないレジの列に並んでため息をつく……なんてことも。

とまあ、ドイツのスーパーはなかなか大変、でも楽しい。今週はなにを買おうかな?

溝口シュテルツ真帆

編集者、エッセイスト。2014年よりミュンヘン在住。自著に『ドイツ夫は牛丼屋の夢を見る』(講談社)。アンソロジー『うっとり、チョコレート』(河出書房新社)が好評発売中。『Huffington Post』『YOUNG GERMANY』にサンティアゴ巡礼記連載中。日独間の翻訳出版エージェント業にも携わる。twitterアカウントはこちら→@MMizoguchiStelz