不気味な仮面で冬を追い出せ!

今冬は2012年以来といわれる大寒波に見舞われたオーストリア。オーストリア西部にあるチロル地方ではそんな寒波もものともせず人々はスキーを楽しんでいましたが、ここチロルではそんな寒い冬の終わりを告げるお祭りが2月に行われます。

そのお祭りとは仮面祭り。仮面の祭りといえばヴェネチアが有名ですが、ここチロルで行われる祭りでは人々はドレスではなくレーダーホーゼンや古びたディアンドルを身につけ、その顔に付ける仮面は不気味なもの。ちなみにレーダーホーゼンはもちろん、ディアンドルを着ている仮面の中の人達全員が男性。

出典: © Obi

このお祭りは長く暗い冬に別れを告げて春の到来をお祝いする祭りで、ディアンドルを着た人は上から木くずをかけたり、ほうきを持って道を掃きながら進みます。これは冬の間に溜まった汚れや厄を追い出すため。そしてレーダーホーゼンを着た人々は春を歓迎するためにチロル地方に伝わる伝統の踊りを舞いながらその後に続きます。

ディアンドルを着た仮面はDie Hexen。ドイツ語で魔女。冬を追い出し、厄払いを兼ねて観客にシュナップス(蒸留酒)を渡して歩きます。

春の到来を告げる魔女

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レーダーホーゼンを着た仮面はDie TuxerとDer Alte。彼らは踊ったり楽器を演奏しながら行進します。踊りは若いDie Tuxer、演奏するのは主に年配のDer Alte。

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レーダーホーゼンを着た仮面達の中に一際目立つカラフルな帽子をかぶっているのはDer Spiegeltuxer。かぶる帽子はとても重いのに、軽快にジャンプしながら踊らなければならないので中に入る人も大変。彼らはカーニバルの花形ともいえる存在です。

ダンス、演奏隊の後にやって来るのは全身に木の板を付けた仮面 – Die Klötzle。体を揺らして木の板を鳴らしながら歩きます。

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彼らは観客にシュナップスを飲ませた後、肩や背中を叩いて厄を払ってくれます。

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これらの行列を見守るように後ろから歩いてくるのは、横と後ろにそれぞれ違う表情をつけた仮面。正面を向いている顔は春の妖精、そして後ろを向いているのは冬の妖精で冬の終わりを表した仮面となっています。

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チロル地方に伝わる仮面祭りでは、村ごとに趣向を凝らした衣装や演出を見ることが出来ます。

これはクマを連れた猟師たち。はじめは、猟師たちが鎖を叩きつけてクマを歩かせていましたが、このあと形勢が逆転し、猟師たちがクマに襲われる羽目に。(笑)

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山々に囲まれた自然豊かなチロルの産業を象徴する木材や家具も行列に参加。作業員に扮した人達も列に続きます。

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オーストリアはスキーがとても盛んな国。チロルも現在スキーシーズン真っ直中で、連日国内外からのスキー客があとを絶ちません。そんなスキー大国らしく、スキーウェアに身を包んだ音楽隊の行進もあります。

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この仮面祭りは今年は2月17日にチロルのAbsamで行われます。機会がありましたら是非チロルの人達と春を迎えるお祭りに参加してみてくださいね!

カーニバルの様子

お祭りのサイトはこちらから

執筆者:Obi
オーストリア西部のチロル地方在住。「地球の歩き方」オーストリア&チロル特派員を担当。2014年から住んでいるものの、まだまだこの国には知らないことだらけ。そんなオーストリアやチロルの魅力を発信していきます。

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