ノルトライン=ヴェストファーレン州のミュンスターランド(Münsterland)地方は、豊かな自然に抱かれながら、科学・工業技術や研究分野でも高い成果を上げる注目すべき地域だ。
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ヴェストファーレンのヴェルサイユ

ミュンスターランドに点在する、堂々たる庭園を備えた城や領主の館は、かつての気高い時代を思い起こさせるドイツの宝だ。“ヴェストファーレンのヴェルサイユ”とも称されるノルトキルヒェン宮殿(Schloss Nordkirchen)は、素晴らしい建築技術をいまに伝えている。

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気候保全対策とハイテクノロジー

ミュンスターランドの中央部に位置する小都市ザーベック(Saerbeck)は、再生可能エネルギー利用を積極的に推進していて、ドイツの“クリマコムーネ”(Klimakommune=気候自治体)の一つだ。

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また、ザーベックに拠点を置くハイテク企業のザーテックス(Saertex)は、飛行機や風力発電機、車両などの大幅な軽量化を実現する新繊維製品を開発しており、世界的にも注目を浴びている。

出典: © Saerbeck USA/Patrick Schneider
パルマやセラーノに匹敵するハム

ミュンスターランドにおいて忘れてはならないのが、ヴェストファーレン風の骨付きハム、その名もwestfälischer Knochenschinkenだ。ドングリを使った伝統的な飼料で育てられた豚のモモ肉を、骨付きのまま外気で乾燥、燻製したもので、その旨みは極上。パルマやセラーノにも匹敵するハムだと評されている。

出典: gut-erpenbeck.de
最先端の研究所

ミュンスター大学内のMEET(Münster Electrochemical Energy Technology)では、バッテリーの性能を向上させる新たな原料を開発するなど、世界の先端を行く研究が行われている。

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また、2003年に設立されたドイツ国内初のナノテクノロジー研究所、センター・フォー・ナノテクノロジー・ミュンスター(CeNTech)、もこの地に置かれている。

出典: CeNTech
世界に誇る蒸留酒「ザッセ」

小さな田舎町、シェッピンゲン(Schöppingen)には300年来続くドイツの伝統的スピリッツ「コルン」の醸造所、ザッセ社(Sasse)がある。二つの丘陵から流れ出た豊かな湧き水と良質の小麦を使い、銅製のポットスティルで丁寧に蒸留されるザッセ社のコルン。

これまでも世界スピリッツ賞(World Spirits Award)など数々の名誉ある賞を手にしてきたが、今年は世界で17ヵ所の蒸留所にしかその栄誉を与えられていない「ワールド・クラス・ディスティレリー2016」にも選ばれた。

出典: Feinbrennerei Sasse
ドイツ人たちの“キッチン的存在”

イーグロ(Iglo)、アペティート(Apetito)、フマナ(Humana)、シュトックマイアー(Stockmeier)、メンツィ(Menzi)、それにハルトマン(Hartmann)……これらはすべて、ミュンスターランドに拠点を置く食品メーカーの名前だ。

調理済み食品に冷凍野菜、新鮮な肉、スープやソーセージ……ドイツ人のテーブルに欠かせない食品の多くが、ここミュンスターランドで生産されている。

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平和と学問の都市

ミュンスターランドの中心都市ミュンスターは、ドイツで最も美しい都市のひとつ。三十年戦争が終わった1648年に、「ヴェストファーレン条約(Westfälischen Frieden)」が締結された場所としても知られている。

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また、ミュンスター大学(ヴェストファーレン・ヴィルヘルム大学)は、クリエイティビティと新しいライフスタイルの発信地。旧市街には、ドイツ唯一のピカソミュージアムもある。

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美を追求する革新的企業

ミュンスター近郊のビラーベック(Billerbeck)にあるメドスキン・ソリューションズ・ドクター・ズベラック社(MedSkin Solutions Dr.Suwelack AG)は、若々しい革新的企業の好例。医療の観点から開発されたスキンケア製品に定評があり、日本やアメリカ、ブラジルにも支社がある。

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“馬の都”ミュンスターランド

ミュンスターランドには、馬の群れが自然のままに暮らす区域、ヴィルトバーン・マーフェルダー・ブルッフ(Wildbahn Mehrfelder Bruch)がある。350頭の馬たちが1845年から保護下におかれ、降雪の時期には干し草が与えられ、生態のままに暮らしている。ヨーロッパでも唯一と言われる、大変珍しい場所だ。

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また、すでに200年前から“馬の街”とも呼ばれるヴァーレンドルフ(Warendorf)は、馬術界における最重要都市で、ドイツオリンピック委員会馬術部門や政府系の馬術学校もここヴァーレンドルフに活動拠点を置いている。

出典: © NRW Landgestüt 2007 via heimatvereinwarendorf.de