「雪の社交界」とも呼ばれ世界中のセレブが集う冬のサン・モリッツで、毎年繰り広げられる「ホワイトターフ」は、華麗で迫力満点の雪上競馬大会だった

スイスのオーバーエンガディン(Oberengadin)地方にあるサン・モリッツ(St. Moritz)は、人口5千人ほどの小さな街だが世界有数のリゾート地として知られている。

出典: Wikipedia CC BY-SA 3.0

1928年と1948年には冬季オリンピックが開催された、ウィンタースポーツのメッカでもある。

エンガディンスキーマラソン; 出典: engadin-skimarathon.ch

そのサン・モリッツで毎年2月に開催される雪上競馬大会は、「白い芝」を意味する「ホワイトターフ(White Turf)」と呼ばれ、凍結したサン・モリッツ湖の氷上を舞台に、3万5千人の観客を迎えて3週間に渡って行われる。

出典: swiss-image.ch

この大会はスイス国内最高額の賞金レースでもある。最高賞金111111スイスフラン(約1230万円)、賞金総額約50万スイスフラン(約5600万円)が、2.7kmの距離を駆け抜ける数分間の勝負で動く。

出典: swiss-image.ch/Andy Mettler

競技の種類は多様だ。フラットレースに障害レース、ソリ馬車を引いてのハーネスレイシングに雪上ポロ大会もある。

出典: swiss-image.ch/Andy Mettler

その中でも「エンガディン地方ならでは」と言われる一番人気の競技が、スキー板に乗った選手を馬が引いて走るレース「シーイェリン(Skijöring)」だ。

シーイェリンはSkikjøringとも表記される。Kjøringとはノルウェー語で馬車競技のことで、シーイェリンは馬や犬ぞり犬やスノーモービルに、直接スキーヤーが引かれて行うウィンタースポーツ。

シーイェリンのレースを含むこの大会は、なんと110年の歴史を誇る伝統的なイベントだ。1906年3月1日、13人のスキーヤーがスキー板に乗って立ち、馬に引かせてサン・モリッツのポストプラッツ(Postplatz)からチャンプフェール(Champfèr)までを、分刻みで往復したのが始まりと言う。

シーイェリンの勝負を決めるのは、スタートダッシュと、最初のコーナーまでのポジション争いだ。前半の走りでは、馬と人とハーネスが入り乱れ、時には馬たちが四方八方に飛び出す迫力のレースとなる。

出典: swiss-image.ch

ハプニングは後半にも待っている。例えば馬が誤って騎手のスキー板に乗ってしまうこともある。そのため現在では、白い雪に映えて馬が見やすいよう、カラフルなスキーが規定となった。

また、選手たちを見分けやすいよう、服と馬とスキーヤーを繋ぐハーネスの間に貼られた旗のような雪よけの色が統一されている。

出典: swiss-image.ch

セレブに混じってレースを観戦している気分を味わえる動画がこちら。

夜間にも人々を飽きさせないゴージャスなレースやイベントが盛りだくさん。

出典: swiss-image.ch/Andy Mettler
出典: swiss-image.ch/Andy Mettler

幻想的な夜のレース

ホワイトターフ(雪上競馬大会)
White Turf
開催日: 2017年2月12・19・26日
場所:サン・モリッツ St. Moritz
会場: サン・モリッツ湖 St. Moritzersee