ドイツの高速道路アウトバーンの多くは、速度制限がない。呼びかけているのは時速130kmという推奨速度のみ。その安全性はどう保たれているのか。

Golf 7 Rで時速259kmで走るドライバー目線の映像がこちら。速度計がはっきりと確認できる。もちろん合法なのでスピード違反で捕まる心配はない。

速度制限がないアウトバーンなら、もちろん時速300kmだって許される。

ところで、交通量の多いドイツのアウトバーンで、そもそもなぜこんなに速く走ることができるのだろうか。それは日本と違い、ドライバー間で「追越車線は追い越し専用」という基本ルールがきちんと守られているからだ。ドイツでは車両は右側通行なので、追越車線は左側。一番左側の車線は、追い越しと高速走行車用で、追い越し後は速やかに右側車線に戻るのが鉄則。そのルールをドライバー達がきちんと守り、常にその目的のために左レーンをフリーにするのだ。

より高速の後続車が来れば、すぐに右によけて左レーンを譲るドライバー達。

日本だと即、免停の時速170kmで走っても、次々と追い越されてしまう。

こちらは時速250kmで走行中のドライバー。右側を走っている車はまるで停止しているかのよう。そんな高速車の横を風の様に走り抜けてくエレガントな走りを見せる黄色いポルシェ。

「ドイツのアウトバーンでは、どんなに速く走っても、絶対に追い越していく奴がいる。更に速い奴が必ずいるんだ。」(トム・ハンクス)

Tom Hanks 2013 in Tokyo
Tom Hanks 2013 / 出典: flickr/Dick Thomas Johnson CC BY 2.0

これほどの高速走行が許されるとなると、やはり交通事故は多いのだろうか。2014年にドイツのアウトバーンで亡くなった人は375人だ。制限速度も取り締まりもある日本の高速道路での同年の死者数は204人。交通事故死亡者全体の中では、高速道路死者数は、ドイツでは11パーセント、日本は約5パーセントを占める。それを多いとみるか、危険なわりに少ないとみるかはあなた次第。