日光浴ならぬ滝浴?その場で呼吸するだけで疾患を治癒する「クリムルの滝」の驚くべきパワー

オーストリア・ザルツブルグ州にあるクリムルという町に、「クリムルの滝」という中央ヨーロッパで最も高い滝がある。そのダイナミックな美しさはもちろんだが、ここに訪れる人の多くは、この滝が持つある特別な力を求めてやって来る。

Shearings Splendors of The Austrian Tyrol 19/06/2012 - Day 8 - Krimml Falls
出典: 出典: flickr/Keith Laverack

氷河の渓流クリムラー・アッヘから流れ出るクリムルの滝は、いわゆる三段滝。全長385メートルの高さを誇り、1秒間に42,000リットルの水を放出する。そこには大きな滝壺が広がり、周囲は微細な水滴を含む澄んだ空気に包まれている。その新鮮な空気を吸おうと、喘息やアレルギー症状に悩む人々が遠方から訪れているのだ。

Krimml mit Besuchern
出典: Zillertal Arena

大量の水が一気に高速で岩に衝突する際に生まれるという「クリムルの滝」の水滴。水滴に含まれるナノ粒子のサイズは、喘息スプレーと比較して200倍も小さいということが証明されている。この水滴を吸うことで、肺が浄化され、アレルギーや喘息の原因となる汚染物質が体外に排出されるという。

この驚くべき効果は、理由は明かされていないものの、1803年にはすでに知られていた。ザルツブルグにあるパラケルスス医科大学の研究においても、「クリムルの滝」を4ヶ月間“吸入”した54人の喘息およびアレルギー小児患者の症状に改善が見られた報告されている。

Krimml und Asthma
出典: Zillertal Arena

山々に囲まれ、谷間に位置するクリムル。人口850人という小さな町だが、年間40万人のゲストが訪れている。療養のために長期滞在する人も多いが、ホテルやゲストハウスも充実していて受け入れ態勢も万全だ。少し距離はあるが、州都のザルツブルク(州と同名の都市)から周遊するのもいいだろう。