折り紙の技術をファッションや家具に落とし込む。出来上がった作品はどれも洗練性の高いモダンアートそのものだ

一枚の紙からさまざまな形を作る日本の伝統的な造形文化 − 折り紙。その折り紙のメソッドを応用した現代ファッションが注目を集めている。

ドイツ・シュトゥットガルト出身の若手デザイナー、ユーレ・ヴァイベル(Jule Waibel)は、ドイツの大学でプロダクトデザインを学んだ後、ロンドンにあるデザインの名門、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートへ進学。そして2013年、同校での卒業プロジェクトとして発表したのが、たった一枚の紙から作った立体的なドレス − 『Entfaltung』だった。

“Entfaltung“とはドイツ語で「(畳んだものを)開く、広げる」を意味する

バウハウスの幾何学的かつシンプルなデザイン構造、さらに映画『メリー・ポピンズ』から得たインスピレーションを日本の折り紙技術に加えて作品は出来上がったという。和洋折衷の絶妙なバランスは、まさに洗練されたモダンアート。

出典: Jule Waibel

合成紙を使って、ヴァイベル自身の手によって作り出される折り紙ドレス

2014年、ヴァイベルはスペインのファッションブランド『ベルシュカ(Bershka)』と契約。ロンドンやパリをはじめとするベルシュカのフラッグシップショップで彼女のドレスが発表された。作品は艶やかで麗しい彼女の作品は全部で25点。日本のBershka渋谷店でも彼女の作品が展示された。

彼女の作品はファッション分野だけにとどまらない。最近では、折り紙のテクニックを応用したソファー『Cones』を発表。素材となるウールのフェルトを折った状態のまま蒸気で加熱し、その形を形状記憶させて作られたソファー『Cones』は、着座すると素材が柔軟に身体にフィットする。

現在はロンドンにスタジオを構え、新たなプロジェクトやコミッションワークに取り組んでいるヴァイベル。また、彼女は自身の兄弟と共に『VIOVIO ltd.』というブランドを起ち上げ、ファッションデザイナーとしても活躍している。才能ある若きドイツ人アーティスト − ユーレ・ヴァイベルに今後も注目だ。

現在29歳のユール・ヴァイベル; 出典: Jule Waibel