1944年、オーストリア生まれの“ディディ”ことディートリヒ・マテシッツ(Dietrich Mateschitz)。世界的人気を誇るドリンクメーカー、レッドブル社の創業者だ。

レッドブルは言わずと知れたオーストリアを代表する世界的ブランド。これまでに169ヵ国で600億本を販売し、全従業員11,000人を抱えている。

マテシッツは大学で10年を費やしマーケティングについて学んだ後、コーヒーメーカーのヤコブス(Jacobs)や、歯磨き粉メーカーのブレンダックス(Blendax) のマーケティングを担当した。

彼が38歳のとき、タイ出張の際にタイ語で「赤い雄牛」を意味するクラティン・デーン(Krating Daeng)というタウリンを豊富に含んだ栄養ドリンクを発見。それに改良を加えて誕生したのがレッドブルだ。

その後クラティン・デーンの創業者のチャリアオ・ユーウィッタヤー(Chaleo Yoovidhya)とその息子のチャローム(Chalerm)とともに、ザルツブルク近くのフシュル・アム・ゼーに会社を設立。1987年4月1日に、初代レッドブルがオーストリアにて発売された。

販売競争に打ち勝つため、マテシッツが力を注いでいるのは専門であるマーケティング戦略。とくに成功をおさめたのはF1やエクストリームスポーツなどのイベントとのコラボレーションだ。

「翼を授ける」のキャッチコピーを体現するかのように、生身の人間が音速よりも早く飛ぶ(というより落ちる?)プロジェクトも行った。

私生活では、以前に2年ほど交際していたスキー教師アニタ・ゲルハルター(Anita Gerhardter)との間に息子のマルク(Mark) がいるが、いまなお独身のまま。現在交際中なのはこちらのマリオン・フェイヒトナー(Marion Feichtner)。

出典: ©GEPA/Red Bull

マテシッツはいつも無精ひげにジーンズとごくカジュアルな姿で人前に現れるが、当然ながらその裕福さはケタ違い。Forbes誌の見積もりによると彼の資産は実に137億ドルにのぼるという。

彼が住むのはザルツブルクの高級住宅街に建つ900㎡の豪邸で、ドイツとの国境近くのマリア・アルムにも広大な所有地があるほか、F1サーキットも保有している。

出典: www.projekt-spielberg.com

さらには、2003年には大西洋の島・ラウカラを1000万€で購入。ラウカラにはリゾートホテルが建てられ、そのヴィラで過ごすには、1晩数千ドルがかかるとか……。

出典: © laucala.com
出典: © laucala.com

アーノルド・シュワルツェネッガー、シルヴェスター・スタローンとともに写真に写るディートリヒ・マテシッツ。まさに「この世はわが世」といった表情だ。

ザルツブルク空港に飛行機博物館を建設したり、身体麻痺の治療のための財団法人を立ち上げたりなどの活動も行うマテシッツ。今後もオーストリアにおける超重要人物のひとりであることは間違いない。