ウォッカを片手に悪夢の世界へ。のどかなスイスの小さな町に、シュールなサイエンスフィクションバーがあった

造形芸術家であり画家のハンスリューディ・ギーガー(Hansruedi Giger)。ハンス・ルドルフ・ギーガー(Hans Rudolf Giger)、H・R・ギーガー(HR Giger)とも表記される。映画『エイリアン』のデザインが有名で、1980年のアカデミー賞で視覚伝達効果賞を受賞した。

《主な作品》

「原子の子供(Atomkinder)」 (イラストシリーズ、1963-64)

HR Giger Atomkinder
出典: © HR Giger

「ニューヨーク・シティ(New York City )」(イラストシリーズ)

HR Giger Atomcity
出典: hrgiger.com

ハルコネンの椅子(Harkonnen-Stuhl)

HR Giger Harkonnen Chair
出典: hrgiger.com

映画『エイリアン』の「エイリアン」

HR Giger Alien

かわいらしい「エイリアン」

Ein von HR Giger (@giger_art) gepostetes Foto am

《日本での作品》

hideの初ソロアルバム『HIDE YOUR FACE』のジャケット用オブジェ

HR Giger Hide Your Face
出典: okmusic.jp
《HR Giger バー》

最初のギーガーバーは1998年に東京にオープンしたが、数年後に閉店してしまう。

HR Giger Bar Tokyo
出典: hrgiger.com

1992年ギーガーの生まれた町、クール(Chur)にギーガーバーがオープン。クールは、アルプス山脈に囲まれた人口3,500人程度の小さな町だ。その街並みにうまく溶け込みながら、「エイリアンバー」は圧倒的な存在感を放つ。

HR Giger Bar Chur Eingang
出典: Wikipedia CC BY-SA 3.0

H・R・ギーガーは、悪夢のようにバーをしつらえた。なにもかもがリドリー・スコット(Ridley Scott) の名作を想起させるデザインだが、閉店時刻が早いのは残念。
(8時) そこは『エイリアン』らしくない。

HR Giger Bar Chur
出典: © Andy Davies/Sci-Fi Hotel LLC.

この世のものではない生物や骸骨に囲まれながら、現実の飲み物を味わう。ぞわぞわっとする感覚と別世界に迷い込んだような不思議な気分でお酒を楽しむ。

カウンターも家具も全て、全体の内装はH.R. Gigerが手がけたもの。

チーズで有名なグリュイエール地方(Gruyères )は、森と湖に囲まれたのどかな地域だ。ここに建つ400年の歴史を持つサン・ジェルマン城(Saint-Germain in Gruyères)の中に、1998年、H・R・ギーガーのミュージアムがオープンした。ここには、ギーガーの1960年から今日までの、重要な絵と彫刻が所蔵されている。

城の最上階ではギーガー自身のコレクションである素晴らしい芸術作品を見ることができる。ミュージアムは進化を続けており、2003年4月、ついにここにもギーガーバーがオープンした。

スイスの美しい石畳の旧市街に、突然サイエンスフィクションの世界が現れる。このギャップがたまらない。

今でもバーを介して偲ばれるギーガー。自宅の階段で転落したことによるけがで2014年74歳でこの世を去った。