最高落下速度時速123km/h、落下時間3.58秒。ピサの斜塔よりも高い高さ59メートルの断崖絶壁からクリフジャンプした26歳男性の挑戦。

世の中には危険と隣り合わせのスリルを求める人々がいる。ただ、ブラジル出身でスイス育ちのクリフジャンパー、ラソ・シャーラー (Laso Schaller) ほど極限のスリルに魅せられた者もいないのではないだろうか。スイスのマッジャ川にある最も高い崖からの想像を絶するジャンプで、彼は世界記録を打ち立てた。

Schaller Base Jump
出典: Screenshot Youtube

シャーラーの今回のトライをあらゆる角度から撮影した映像。高所恐怖症の人は閲覧注意!

2015年夏。シャーラーは高さ58.8メートルの崖から滝壺に飛び込んだ。到達時間はわずか3.58秒。まさに一瞬の神業である。スイスのティチーノ州には、150以上の渓谷があり、無数の滝が存在する。今回シャーラーがジャンプしたカスカータ・デ・サルトは、別名「滝の王」と呼ばれる最も大きな滝だ。とは言っても、水深は、わずか8メートルと非常に浅い。一歩間違えると大惨事となる生死紙一重のビッグチャレンジだ。

ただ、何の安全装置もなく飛び込んだ訳ではない。エナジードリンクで有名なRed Bullがスポンサーについており、安全を考慮して、着水時の衝撃をやわらげるために滝壺に6つのタンクを設け、それらのタンクから水中に空気を送り込む対策をとっていた。飛び込み台も岩から十分な距離を取った位置に設置。あらゆる計算のもとに行った挑戦だった。

Laso Schaller performing in Maggia, Switzerland on August 3rd, 2015
出典: Red Bull

26歳の若さにして、シャーラーは、これまでにも20回ほど25メートル級の高さの崖からクリフジャンプに挑戦していて、すでにさまざまな記録を保持している。

今回の挑戦で、彼は右足を負傷。着水ポイントから少しだけ外れてしまっての怪我だった。それでも彼の挑戦は続く。まずは今回の記録のギネスブック認定を待っているところだ。