ドイツでよく見かけるゴミ箱を覗きこむ生活困窮者の姿。彼らの目的はお金になるリユース瓶をゴミ箱から得ること。そのときに汚いゴミに触れたり、手を怪我してしまったりすることもある。

そこで、ケルンに住む若いデザイナーのポール・ケッツは、ゴミ箱に取り付ける“ファンドリング“なるものを編み出した。生活困窮者に人間としての品位を戻してあげたいというポールの願いがファンドリングの発想源だった。

Pfandring
出典: Pfandring

イツでは殆どの飲料容器が再生可能なリユース瓶で、購入する時にデポジット(預り金)を払うことになっている。金額はだいたい8セントから25セントほど。日本円にして6円から18円だ。ただ出先の場合、わざわざ空き瓶やペットボトルを家に持ち帰るのも面倒なことから、1瓶ぐらいとゴミ箱に捨ててしまう人も少なくない。生活困窮者は、こうして捨てられたリユース瓶を集めてお金にしているのだ。

ファンドリングがあれば、飲み終わったリユース瓶を単にゴミ箱に捨ててしまうのではなく、ゴミ箱に外付けされているファンドリングに置くことができる。そして、生活に困っている人たちは、ゴミ箱をあさることなくリユース瓶を集めることができる。つまり、捨てる側は小さな社会貢献ができ、集める側は嫌な想いをしなくてすむ。一石二鳥というわけだ。

実際のファンドリング使用シーン

…が、同時に反対意見も寄せられるようになった。リユース瓶を集めることが簡単になってしまい、生活困窮者以外の人たちがそれを集めるようになってしまえば、命をつなぐための小銭を本当に必要としている人たちにリユース瓶が行き渡らなくなるのではないかという懸念だ。結論が出ないまま、ファンドリングの普及はひとまず頓挫。あなたはどう考えますか?